Shanghai memo
上海メモ/気が向いたとき、思いつくままに…。
いきなり預金準備率を引き上げ
旧正月明けの中国市場に何か異常事態が起こりそう
晦日の土壇場(それも午後六時)に預金準備備率引き上げを発表した
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旧正月前の消費ブームを毀すまいと、中国人民銀行(中央銀行)は通貨供給を増やし続けた。市場にカネを垂れ流し続けた。
そして2月12日(ことしのカレンダーで晦日。正月元旦は14日)、それも株式市場も終わり、人々が帰省の列車に(或いはバス、飛行機に)乗り込んだのを見届けてからの発表だった。
午後六時。いきなり預金準備率を引き上げ、16・5%にすると発表した。つまり銀行は貸し出しをセーブし、16・5%の預金は必ず確保しなければならない。厳格な金融引き締めにはいる。理論的に言えば銀行は融資をやめ、貸しはがしに移行せざるを得ない。
それにしても無茶苦茶に粗っぽい金融政策をやってのけるものだ。
ことし二回目の預金準備比率引き上げだが、実は昨今の狂乱市場を考えれば前から予測された。
問題は旧正月休暇の一週間という空隙を当局が狙いうちしたことである。民間銀行も投資かも、対策の取りようがない。
実施の適用は上海市場が旧正月が完全にあける25日からとなる。
昨年、中国は通貨供給量を27%増やした。政府の景気刺激策で4兆元、さらに銀行に命じて、統計的には7兆500億元の貸し出しを増やしたが、合計12兆元弱に達している筈である。
邦貨換算で168兆円という「信用拡大」を人工的に作りだしたのだ。
この大幅な金融緩和により自動車販売世界一、不動産ブームがおこり、家電販売では13%のキャッシュバック。ありとあらゆる景気刺激で中国経済が世界景気の回復エンジンという立場を演出した。
狂乱の消費ブームの跡に、何がやってくるか。
信用の急激な収縮である。
やはり米国のファンド・マネージャーが言うように「ドバイショックの1000倍規模の『上海ショック』がくる」というのは現実になりそう。
(宮崎正弘の国際ニュース・早読み)
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