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Shanghai memo

上海メモ/気が向いたとき、思いつくままに…。

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【緯度経度】北京・伊藤正 貧富を分けるマイホーム

上海では今年の夏、竣工直前の高層マンションが突然倒壊した。
開発業者と役人との癒着、手抜き工事がその背景にあると言われている。
また、最近、「房奴(ふぁんぬ)」 という言葉も見かけるようになった。
ローン返済に窮する「不動産の奴隷」という意味だ。
不動産開発は今、膨大な利益を生む。
かつての日本のバブル時代も、新規マンションを借金して購入し、
中古で売り抜けることで資産形成した人は多かった。
そのような状況が現在の中国でも行われて久しい。
あるセミナーで、WTOに中国が加盟した2002年前にマンションを買った人は
その恩恵に預かり、資産となっているが、
近年では猫も杓子もマンションを手に入れようとする一方で、
期待したほど値上がりせず、「房奴」が増加していると聞いた。
人間は欲望の動物だ。
特に、拝金主義(「向銭看」)を至上とする価値観が特に強い上海では、
マンション所有が結婚の条件と言われ、親から頭金を出してもらって、購入する男性も多いと聞く。
(知人にもいるが、まだ相手は見つかっていない)
しかし、購入した住居はひびが入り、傾き、水道、電気がまともに機能しないことも多いらしい。

下記は、産経新聞北京支局長のコラム。

 中国はいま、大都市の住宅問題を軸に、現実社会をリアルに描いた連続テレビドラマ『蝸居』(計35回)の話題で持ちきりだ。7月下旬の上海テレビの初放映以来、大反響を呼び、北京テレビも10月に放映したが、11月中旬からの再放映が突然、10回で打ち切られたため、憶測が乱れ飛び、関心をあおることになった。  

 原作、脚本はシンガポール在住華人の六六氏(女性)。出身地の上海(ドラマでは架空の江州市)が舞台で、カタツムリの殻のように小さい古アパートに住み、生活を切りつめてマイホーム入手に格闘する大卒の中産階級夫婦を中心にドラマは展開する。  

 郷里の両親の援助も受けてやっとカネを工面しても、急騰する住宅価格に追いつかない。妻の妊娠で焦る二人を助けたのは、大卒後、不動産会社に就職した妻の妹だ。彼女を見初めた市長秘書から姉のために借金したのをきっかけに秘書と関係を結び、やがて同居中の婚約者と別れ愛人になる。  

 開発業者のわいろで豪勢な生活を送り、権力を振るう市長秘書、秘書と結び住宅地建設を強引に進める業者と立ち退きに抵抗する老婦人一家、社会保険基金を開発資金に流用する銀行幹部など、それぞれの家族を含めたさまざまな人間模様と生活ぶりが、テンポ良く描かれる。   

  多くの人は、現実そのままとの印象を持ち、2006年に上海で発覚した陳良宇党書記(当時)らの汚職事件を連想する。劇中の市長秘書は陳書記の元秘書、秦裕宝山区長(同)、その愛人になった妹はテレビ局キャスターがそれぞれモデルと、中国紙も報じている。

 それにしてもドラマが描く「現実」はすさまじい。市長秘書の愛人になった主人公の妹は、豪邸に住み、ぜいたくな生活に慣れるうちに誠実な婚約者よりも秘書を愛し、子どもを産もうとするが、ウェブサイト上では、彼女に共鳴する投稿が多数あった。
 中国の極端な格差社会では、カネが価値基準であり、マイホームや高級乗用車は貧富を分ける境界線になっている。妹は手段はどうあれ、富裕階級にランクアップした成功者とみられているのである。

 中国では、世界金融危機後、金融の大幅緩和と税の軽減措置の景気刺激策で、住宅価格の上昇が続き、大中都市では前年比、二ケタのアップになった。北京など一部の大都市では、投機的な投資が急増、物件によっては50%以上も値上がりし、資産バブルへの懸念が高まっている。

 中国政府は今月、住宅価格の上昇を抑える規制強化方針を打ち出したが、不動産の値下がりはないとの神話があり、業界は前年の経営不振から脱し、好況をおうか、開発に拍車をかけている。

 住宅は既に取得した人は値上がりを期待し、未取得の人は逆の立場にある。住宅を購入済みの中国の友人は、安いうちにもう1軒買っておけばよかったといい、買い損なった友人は、いずれ値下がりすると自分に言い聞かせた。

 ドラマの中では、官僚の権力乱用や腐敗のひどさが描かれている。これに当局が怒り、再放送を中止させたとうわさされたが、お目付機関の中国放送・テレビ・映画局の責任者は、ドラマを「低俗」と批判しつつ介入は否定した。

 中国紙「21世紀経済報道」によると、北京テレビは、大手開発業者がイメージを損なうと「圧力」をかけたと明かしたという。開発業者の鼻息は荒いが、ドラマはネットに流れ、「盗版」(コピーDVD)もあって、業者は嘲笑されただけだった。現代中国の問題点を考えさせられた。
 

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